フィクション作品とリアリティの隙間

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(C)2012「おおかみこどもの雨と雪」製作委員会

作り手が語る裏話は、意外な作品の側面を見せてくれるという点で、ついつい読んでしまうのですが
たとえアニメといえども、現実と無縁ではいられない」という、プロデューサーさんとライターさんの対談は、より複相的な視座を与えてくれる、いい記事でした。

しかし、またこのネタかよ、と(笑)。
「おおかみこどもの雨と雪」のDVD/blueray disc発売やらレンタルやらの影響で、制作者のメディア露出の機会が増えていたようです。

「おおかみこどもの雨と雪」の衝撃

あなたがもし「アニメ好き」を自称するのであれば、この映画は観たほうがいい。もし、映画館で観られるのなら、映画館で。きっと、後々、「おおかみこども」はアニメ制作上のターニングポイントの作品だった、と語られるにちがいないから。また、アニメ作品の作り手の意識やこだわりについて、きっと考えさせてくれる作品だから。

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『あの花』最終回~ 風景の持つ感動のチカラ

個人的にすごく盛り上がった『あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない』、最終回を迎えました。
涙腺破壊力に期待して見てたんだけど、あれれ? という感じで終わってしまった感じが。。。
いや、決してつまんないと言うつもりはないし、それなりに感動はしたので「許容範囲かなあ」とは思うんだけど、10話までの『あの花』の流れからすると、最終回だけ、作り手側の理屈を押し付けられた感じが拭えなかったかなあ、と。

この感じ、『エヴァンゲリオン』のTV版最終回、『エウレカセブン』の3クール以降や『崖の上のポニョ』のラストにも共通してるんだけど(わあ、こんな風に書いてて、すっごいマニアっぽい気がしてきた(笑)。仕方ないね、マニアなんだから)、物語を理解させるための尺不足を登場人物のセリフ回しでカバーしようとして、観てる人たちをおいてけぼりにしちゃった。
探偵小説のラストで、謎解きするシーンのような感じとでも言うんでしょうか。セリフを注意深く聞いてないと、なにが起こってるのかわかんない。これ、見る側にすると、かなりつらい演出だったのかなと感じましたよ。
逆に言えば、『あの花』は、10話までの情景演出が出色だったことに気付かされました。真夜中の横断歩道、秩父大橋、駅のホーム、特急通過待ちのトンネル、河原、花火の発射台…。
風景の持つチカラって、すごい。ああ、こうしてアニメの「聖地巡礼」って流れにつながるんだね。。。納得です。

ところで、前回のツイートが『みたいもん!』のいしたにさんにTweetされててびっくりしました。

あの花と異人たちとの夏に言及してるのはとりあえずこれ http://bit.ly/j0JoZhless than a minute ago via Echofon Favorite Retweet Reply


『異人たちとの夏』と『あの花』の関係について研究されていたようで。。。ほほう。

『あの花』がすごい件について書かないではいられない

40歳過ぎているというのに、ふとしたキッカケで、アニメ作品にハマることがあります。
最近はネットの口コミやらごにょごにょやら、レンタルDVDやらが充実しているおかげで、「へぇ~」と思ってすぐ確認できるので、必ずしもテレビのオンエアや映画公開時に確認できなくても、後追いで楽しめる。いやいや、本当にいい時代になったものですね。
(大学生だったら、本当、家から一歩も出ないような生活になってそう。ある意味、便利すぎるのも社会としてはヤバいわな…。) 

で、つい最近知って「すごい!」と盛り上がっているのが
『あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない』という作品
『あの花』という略称でも呼ばれ、2011年の春シーズンアニメでは高い評価を得ているのだとか。
今週、最終回がオンエアらしいんですよ。いや、ギリギリだけど、間に合ってよかった…。

物語は、埼玉・秩父。
ひきこもりしている高校生、ジンタンのもとに、小学生のときに事故で亡くなってしまった幼馴染の女の子が現れ「わたしのお願いをかなえてほしい」と訴えてきます。
その少女の死が原因で心に傷を負いながら、それぞれの道を歩き始めていた6人の幼馴染たちが集まって…。

…なんて紹介しても、地味なあらすじにしからなないんだけど(笑)、涙腺の破壊力がハンパないっす。
キャラクターそれぞれが心の中に秘める思いがあって、それがいい塩梅に絡んで、離れて、チクチクと胸に痛いんです。
「もう、出てくるキャラ、みーんな、優しいじゃんか! うわーん(泣)」な感じは、『ハチクロ』好きな人なら、共感できるんじゃないかと思いますよ。
演出のテクニックも、すごくすごくヤバい。
OPの演出も、脇役キャラクターの使い方、背景や情景の描写の丁寧さ、必ず次回への「?!」を残すEDへの導入…どれをとっても「うまい!」としかいいようがありません。 

 

「突然いなくなってしまった人との心の交流」というテーマは、劇作的には定番中の定番のモチーフ。

思いだせる映画だけでも『異人たちとの夏』『ゴースト』『よみがえり』『いま会いにいきます』エトセトラ。
個人的に好きな作品で言うと、よしもとばななのデビュー小説『キッチン』と同じ単行本に収録された小説『ムーンライト・シャドウ』もあるなあ。

でも『あの花』の演出で、ひとつ全然違うのが、亡くなってしまった少女の描写。質量的というか、きちんと重さがある。壁を通り抜けたり、飛んだりしない。
まるで生身の人間みたいに、どたどた走って、ふすまを開けて、肉を食べたりもする(笑)。ただ、主人公のジンタン以外には見えないだけ。
この、生っぽさが逆にファンタジー感を消して、すごくしっとりした人間ドラマにしてくれているような気がします。

10話の終盤、花火が打ちあがるシーンは、思い出すだけでも、また涙腺壊れそうです。 

日本のアニメって、本当、レベルが上がってすごいことになってるなと嬉しくなりました。
作ってくれた人たちにお礼を言いたくなります。

まわりの友達を大切にすることの温かさや、ぬくもりを感じさせてくれる作品がヒットしたのは、必然であるようにも思います。
ぜひ見てない人には見てみてほしい。 素敵な作品です。 

(追記)
Facebookのファンページも、盛り上がってる。しかも驚いたことに、英語がほとんど!
いまどきのアニメは、世界中でリアルタイムで見られてるんだなぁ(…って、違法アップロード経由なんだろうけど)

荒川アンダーザブリッジとハチクロ

うっかり観てしまったアニメ「荒川アンダーザブリッジ」に、すっかりハマってしまいました。
この作品、ほんとうにラブリーすぎます。

しかし、原作は「聖☆お兄さん」の中村光さんのマンガらしいこと、そして中村さんが女性作家だということ、さらにはOPアニメの絵コンテを女性演出家が担当されているということを知り、なんだか妙に納得。
とくに激しく胸奪われるのはOPアニメなのですが、やくしまるえつこさんの歌声といい、画面やデザインの演出といい、ニノちゃん(主人公の恋人の女の子)の衣装や表情といい、「乙女度てんこもり」。

んでもって、このEDも、「乙女度」すごい! こちらも女性作家作品。きゃああ!

この、感動いつかも味わったことがある、と思ったら、ハチクロのコミックを読んだ時でした。
女の子に生まれ変わりたくなるなあ。。。おっさんが言うセリフとしては、気持ち悪いけど(笑)。

日本のコミックやアニメのポップ・カルチャーとしての深さが、すごいところに来てるのを思い知らされます。

映画を模倣するところからスタートした、日本の「ストーリーマンガ」ですが、ギャグやファッション、SFの文脈を引き込むことで、感じることができる人を選んで感じさせるコンテンツになっている、という点で言えば、まさにアートの領域。
こういうの見られて、幸せを感じます。
「ヴィーナスとジーザス」、ヘビロテです。