スーパーの精肉売り場に
「黒毛和牛肉が50%OFFの『笑劇的プライス』!」
という手書きPOP。
妻と、これはどういう肉なのかなと「個体識別番号検索サービス」を利用して、お肉の出所を確かめてみました。
牛肉には個体識別番号というのがあって、お肉売り場のラベルにもきちんと表示されてます。ケータイからカンタンにこのサービスを利用することができるのです。
結果は、「福島県飯館村」。
思わず絶句。
流通している食品の放射性物質は政府の定める暫定基準値を下回るものであることは、情報として知ってます。
仮にこの肉に放射性物質がまったく含まれてないならば、この牛を育てた農家の方は買い叩かれたのだと想像できます。まさに風評被害。流通企業や消費者はある意味での加害者であり、生産者は結果的な被害者という構図になります。
もっとも、放射能を心配しなくてはならない状況を生んだのは、消費者でも農家でもないんですけどね。本来、この放射能被害の原因を作った人たちが補償して当然なのに、そういうしくみになってないことが妙なんです。放射能は自然災害じゃないんです。
また、一方で、仮にこの肉に放射性物質が含まれていたとすると、この肉を購入して食べる人は内部被ばくする可能性があります。
日本にはいま「暫定基準値」という指針が設けられていますが、いろんな方が指摘している通り、じつは低量被ばくの影響は解明されていません。
放射線の影響は確率的にしか語れないので、「ただちに害を及ぼすものではない」にせよ、ほんの少しでも摂取量が増せば、リスクがアップするのは間違いないんです。
「被災地の農家のために、多少の放射性物質は気にしません」という気持ちは大事かもしれません。「政府が大丈夫と言っているのを信じる」というのも愛国精神かもしれません。しかしその消費行動と交換されているのは、その人の将来の健康ということになります。
もし将来、消費者が健康被害を被ったとき、仮に自分で覚悟していたとしても、放射性物質を含む農産物を流通させた生産者・流通企業いずれもが加害者となってしまいます。
暫定基準値を定めた国に責任があるとは言え、供給サイドは命に関わる加害者としての十字架を背負うことになる。
悲劇的としかいいようがありません。
白血病はまだでない。3年以降で、白血病はピークが5年、がんが7年だった。これは必ずピークは出る。医師は知っておいた方がいい。被災者のみんなが放射能障害を心配している中で、「心配しなくていいよ」という医者では通用しなくなる。
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加害者になりたい人なんかいません。もちろん、被害者にもなりたくありません。
しかし、いまスーパーマーケットの中で見えてくるのは、誰かが加害者になって、誰かが被害者になるしかないゲームが現在進行形で展開しているということ。
いったい誰に訴えたら、この異常なゲームを止めてもらえるんでしょう。