オペレーション・日本のコドモタチ

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わたくしは今まで農業の人たちは、「素朴なところはあるけれども、日本人としての誇りや、日本を大切にする心を持っておられる」と信じていました。
農業は、たとえそれが自分の所有する土地であっても、日本の大地をお借りしているのですから、日本に対する愛着が他の職業よりも強いと思っていたのです。
でも、今回のこの一連のことでわたくしはその考えを修正せざるを得ません.

(武田邦彦(中部大学):科学者の日記110520  哀しい茶葉の検査拒否)

 

福島の原発事故の「影響」が新しい様相を呈してきています。

震災と津波による電源の途絶、メルトダウンによる放射能の広範囲拡散という最初の「影響」は、日本はもちろん世界中が注目しました。原発の安全管理や危機管理がなっていなかった、とか、事故後の対応がまずかった、などの報道と併せていまもメディアで報道されています。

しかし、拡散した放射能が、どこにどれだけの量飛散し、吹き溜まっているのか、そこで暮らすとどうなるのか、また、放射能が飛散した地域で獲れた野菜や魚介類を食べたらどうなるのか、といった「事後の影響」については諸説が入り乱れています。

とくに放射能に対する感受性が大人の何倍もあると言われる子供たちについての対応は慎重かつ緊急の問題であるはずなのに、本来子供の視点からイニシアチブを取ってしかるべき厚労省・文科省が「現在の基準で大丈夫」の一点張り。
これに対して専門家たちが「そんなはずはない。子供に対する安全基準をより厳しくすべきである」と対抗しています。
東大の小佐古教授の内閣官房参与辞任でちょっぴり話題になりましたが、テレビなどではそれ以上の追及や討論をしていないように見えます。結果的に、情報を追っている人とそうでない人とで問題意識ギャップが拡がっています。

そんな中、農産物生産者から「放射能測定なんかしたら、出荷できなくなる。測定を拒否します」と、本末転倒な意見まで出てきました。
驚いたことに、これには自治体首長までもが賛成するという事態になってきているとか。

 

なぜ、そんなことをするのでしょう? 悲しい気持ちになります。
チェルノブイリ周辺では低レベルの汚染区域で事故から10年、20年を経て白血病や甲状腺がん患者が増えたという事実があります。
いますぐ影響がないとしても、あるいは、特定の商品が原因というわけでないにしても、通常よりも強い放射線を出す食べ物が増えれば、影響が出ることは必至です。

まずは除染のための取り組みをして出荷を停止し、損害をしかるべき相手に訴えるところからスタートするのが筋。
放射能で汚染されているとわかっている商品を、測定せずに出荷するのは卑怯です。
すべての農業・漁業関係者がそれをやり出したら、どうなるんでしょう?
日本のスーパーマーケットは放射能配給基地になってしまいますよ。

 

Operation Kodomotachi

オペレーションコドモタチ」は、超高濃度汚染区域の子供たちを救おう、というアーティストたちの取り組み。
放射能感受性が高いと言われている子供たちを、まず、なんとかしましょう、と立ち上がった大人たちがこれだけいたのかと心強い気持ちにさせてくれます。
日本の大人たちは、みんながこれくらいのアツい思いを持っていると信じたいです。

ところが、放射性物質が付いていようが知ったことではない、とにかく出荷します、と放射能のリスクを全国の子供たちに背負わようという大人がいるのです。

これって、どうかしてると思いませんか?

子供を持つ父母たちは、できる範囲で子供たちが摂取するものの放射線を逓減させることができます。
産地に気を付けたり、放射能を溜めやすい食材、溜めにくい食材の知識を得るだけでも違ってくるでしょう。
(「ベラルーシの部屋ブログ」はチェルノブイリの被害を受けたかの地のノウハウを教えてくれています。参考になります)

けれど対処療法だけしていても限界があるのは明らかです。
大事なのは大人たち皆が「この国の子供たちを守ろう」という思いを持つこと。
オリンピックや、サッカーで活躍する日本代表選手たちを応援したときのように、被災地の子供たち、目の前の子供たちを応援しましょう。
自分たちの手で子供たちのリスクを下げることができるなら、できる限りのことをしませんか?
彼らなしでは、未来の日本は作れないんです。